シルクロードのオアシス ブハラの観光スポット5選

2021/08/17

皆さんは、シルクロードと言えばどんな都市を思い浮かべますか?青の都サマルカンド?ウズベキスタンの首都タシュケント?

もちろんそれらも素晴らしいところですが、忘れてはならないのはウズベキスタンのブハラです。

シルクロードのオアシス都市として栄えた歴史ある魅力的な都市ブハラ。

今回はロマンあふれるブハラの町の観光スポットを5つ、ご紹介します!

 

ブハラってこんな街

中央アジアに位置するウズベキスタンは古代よりシルクロードのオアシス都市として栄えていました。

青の都で有名なサマルカンドや首都のタシュケントよりも歴史的な街並みを残し、シルクロードの文化を肌で感じるには、ブハラをおいて他にはありません。

ブハラの歴史は古く、町の起源は2500年も前に遡ると言われています。

名前の由来はサンスクリット語で「僧院」を意味する言葉で、もともとは仏教寺院を中心とした都市であったことがわかります。

そのうちに中央アジアで交易に従事したソグド人の拠点となり、交易都市として発展しました。ソグド人は遠く中国まで活躍した交易民族で、ブハラの名前は中国の歴史書にも残っています。西域を旅した三蔵法師もブハラを訪れたと言われています。

古くから交易都市として栄えたブハラ。8世紀にはイスラム帝国が進出し、イスラム教が広まりました。その後、ブハラが首都となり商業や文芸や学問がこの地から発展していきました。

1993年には、ブハラの中心部にある旧市街の街全体が世界文化遺産に登録されました。

シルクロードの空気とイスラム教の美しい建築を味わえる街、それがブハラです。

ブハラの治安

ブハラに限らずウズベキスタンの都市部や観光地は治安が良く、安心して旅行を楽しめます。

ただ他国同様に、バザールでのスリや置き引きには要注意です。

貴重品の管理はしっかりと行いましょう。

また旅行者にはパスポートの所持義務があり、たまに警察官に提示を求められたり、荷物チェックが行われます。

そして、ウズベキスタンは主な宗教がイスラム教です。そこまでイスラム教に厳格な国ではありませんが、肌の露出は控えましょう。

特にモスクでは男性はショートパンツを控え、女性は髪の毛や体のラインを隠すようストールなどで覆いましょう。

またモスクは信仰の場なので礼拝の時間は避けたり、静かに過ごすといった配慮が必要です。

ブハラの治安は良いですが、ウズベキスタンの南のアフガニスタン、東のタジキスタン、キルギスの国境付近は渡航中止勧告が出ています(2021年5月発表)。詳しくは外務省の海外安全ホームページを確認してください。

   

アルク城

ブハラと言えばこの城塞、というのがアルク城です。

町のほぼ中心に位置するアルク城は、ブハラを治めていたハーン(王)が居住していた要塞です。

この地域特有のイチャン・カラと呼ばれる形態のお城で、傾斜のある巨大な城壁が特徴です。

伝説では、アルク城はシヤーヴァシュという英雄によって建てられたと言われています。

城を建てる際、土地を所有する豪族から、牛の皮で覆える範囲の土地で城を建てろという難題を出されます。

シヤーヴァシュは機転をきかし、皮をひものように細く切ってつなぎ合わせて土地を囲み、今のアルク城の広大な土地を手に入れたと言われています。

城内には図書館があり、中世のイスラム世界では随一の蔵書数を誇ったと考えられています。

イスラム世界の大学者であり著名な医者でもあるイブン・シーナーは、幼いころにアルク城にあった図書館で様々な学問を学びました。

彼はヨーロッパ世界ではアヴィセンナの名で知られ、彼の著した『医学典範』は当時のヨーロッパ世界では大学で教科書として扱われるほど重宝されました。

現在、アルク城の内部は博物館となっており、当時の居住空間やモスクなどを見て回ることができます。また民芸品等を売っている店も入っており、お土産物を買うこともできます。

城壁の上からはブハラの町を見渡すことができます。

当時のハーンも、同じ景色を見ていたのかもしれませんね。

  

カラーン・モスク

 

ブハラの街を代表するのが、このカラーン・モスクです。

このモスクにあるカラーン・ミナレットは45mもの高さを持つ塔で、高い建物の少ないブハラの町ではひときわ目立つ存在です。

このモスクの歴史は古く、12世紀に建てられて以降、倒壊と再建を繰り返しながら、今日まで残っています。

カラーン・ミナレットのあまりの美しさに、ブハラを侵略したチンギス・ハーンもこの塔だけは壊さなかったと言われています。

カラーン・モスク自体はモンゴルの襲来時に破壊されてしまい、今建っているものは16世紀に再建されたものです。

その再建された建物も、宗教が否定されたソ連時代には倉庫として使用され荒廃してしまいましたが、現在では修復が完了し、入口にそびえる半アーチ状のイーワーンの美しい装飾や、静謐な回廊などが忠実に再現されています。

近くのポイー・カラーンと呼ばれる広場は中庭になっており、モスクやマドラサ(イスラム教の神学校)などで取り囲まれています。

広大な中庭は最大1万人の信者が礼拝できるようになっています。

ブハラを象徴する建築物のカラーン・モスクとミナレットは絶対訪れてほしいスポットです。

    

バラハウズ・モスク

ため池のほとりにあるこのバラハウズ・モスクは、かつてブハラを治めたハーン専用のモスクでした。

名前にあるハウズとはモスクの前にあるため池のことであり、オアシス都市であったブハラにおいて水は豊かさの象徴でした。


このモスクの特徴は、ブハラの気候を反映させたものになっていることです。

ブハラは砂漠に囲まれたオアシス都市なので、夏に暑いのはもちろん、冬は極寒になる気候が厳しい場所です。

そのため、モスク内は夏の間に使う部屋と冬の間に使う部屋に分けられています。

夏の部屋は開放的なデザインとなっており、風通しがよく夏でも涼しく礼拝を行うことができるようになっています。

冬の部屋は厚いレンガに囲まれ、また中で火が灯せるようになっており、寒い冬でも暖かく過ごすことができるようになっています。


このモスクは王のプライベート用であったということで、豪華で緻密な建築も特徴です。

特に、クルミの木で作られた20本の柱には美しい彫刻が刻まれており、鮮やかに彩色されています。

その柱の見事さから「40本柱のモスク」という名前でも知られています。

あれ?柱は20本なのにどうして40本?と思ったかもしれません。

そうです、この40本とは、ため池の水面に映る柱も入れた数です。

ハーンが住んでいたアルク城側からモスクを見ると、きれいに水面に映ったモスクを見ることができます。

ハーンが堪能していたであろう景色を、皆さんも是非味わってみてください。

  

チャルミナール

「4つのミナレット」という意味のチャルミナールは、その名前の通り4本の塔が特徴的な建物です。

その風変わりな外観はブハラにある他のどの建物とも似ておらず、独特の存在感を放っています。

4本の塔の先端は、どれも見事なターコイズブルーのドームに覆われていますが、その下の模様は4本とも異なっています。

これは、ブハラにあった様々な宗教、イスラム教以外のキリスト教や仏教などの文化を反映したものであるとか、建築を依頼した商人の四人娘の性格を表したものであるとか言われていますが、はっきりとした理由はわかっていません。

内部は他の建物と同じくモスクやマドラサなどを備えていて、近くにある庭園も含めて見どころたくさん。

ブハラならではの独特の光景、訪れた際は是非見ておきたいものです。

   

タキ・バザール

ブハラの町のほぼ中央に位置するこのバザールは、16世紀に作られた由緒ある古いバザールです。

「タキ」とは丸屋根のことで、その名の通りこのバザールは大きな丸屋根で覆われています。大通りの交差点に建てられたのも特徴で、十字に交差するように通路が続いています。

市内にはメインのタキ・バザールが3つあり、それぞれ「タキ・ザルガロン(宝石商の意味)」、「タキ・サラフォン(両替商の意味)」、「タキ・テルバクフルシャン(帽子屋の意味)」と呼ばれています。

中では帽子やかばん、ウズベキスタンならではの美しい刺繍の絨毯が並べられています。

また、バザールの近くには多くのお土産物屋が軒を連ねているので、買い物に困ったらこのタキ・バザール周辺を散策してみるとよいでしょう。

屋根に覆われていることから中はひんやりと涼しいので、休憩がてら覗いてみるのもおすすめです。

  

イスマーイール・サーマーニー廟

ブハラに残る建築物の中で最も古い歴史を持つのが、このイスマーイール・サーマーニー廟です。
伝説によれば、9世紀末、名君であったイスマーイール・サーマーニーが父王のために50年もの歳月を費やし、建築したと言われています。
サーマーン朝は中央アジア地域で初めてイスラム教を受容した王朝の一つで、この廟も中央アジアで最古のイスラム建築となっています。

そのため、この建築の影響力は絶大で、のちの中央アジア地域の建築の方向性を決定づけました。


廟は、1辺10mの正方形のレンガで作られた箱状の建物の上にドームが乗っているというシンプルな形をしています。

レンガは複雑に組み合わされて緻密な装飾が施されており、廟の四隅には頑丈な柱が備えられています。

内部の壁も精巧な装飾で埋め尽くされており、見るものを圧巻させる迫力を持ちます。

色はシンプルなクリーム色で、月の光に映る姿が最も美しいと言われています。

サーマーニー廟は、そのコンパクトかつ洗練されたデザインから、宝石箱に例えられることもあります。

そんな古い歴史を持ったサーマーニー廟ですが、昔は砂の中に埋もれモンゴル軍の破壊を免れたという幸運な建物で、保存状態はよく、ほぼ創建当時の姿を今に伝えるとても貴重な建築です。

中央アジアの建築の原点であるサーマーニー廟、是非一度訪れてみてください。

最後に

ブハラの魅力は、その都市の歴史が肌で感じられることです。

サマルカンドにあるような壮麗で巨大な建築物や、タシュケントにあるような現代的な建物は多くありませんが、ブハラには歴史的な街並みがよく保存されており、シルクロードの生きた歴史を垣間見ることができます。

マドラサでは今でも学生達がクルアーンの勉強をしており、バザールは買い物客で賑わっています。また、観光地が比較的都市部に集中しているのも特徴です。

悠久のシルクロードの歴史を、ここブハラで是非感じてみてください。

執筆者紹介

AsianNavi

AsianNavi編集部

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